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【プロローグ】フロイス曰く『日本でもっとも人口が多く富裕な市の一つ』の頃から。
ーー福岡。
魏志倭人伝にも地名を残す伊都国。
大宰府政庁の設置された太宰府。
貿易港として古来より栄え、戦国時代戦火の憂き目にあいながらも自治都市として名を馳せた博多。
明治政府の官営事業により栄えた小倉をはじめとする各地工業地帯。
かつてより各地から様々な人々の集まる土地だった福岡は、現在も移住先として目を向けられる事も多い。
『それなりに利便性のある土地に住みたいけれど、人が多すぎるのもちょっと』
『地方都市でのびのび子育てしたい』
『本社機能を地方都市に移したい』
そんな層が家を買ったり転勤先に希望したり、また土地に縛られず仕事ができるリモートワーカーやフリーランスが移住に選んだり。
いわば「空港アクセスも良く、そこそこ便利で人が多すぎない、それなりに雑踏に紛れられる土地」。
そんな場所は大抵、人の世に居場所を失った『あやかし』にとっても住みやすいもの。
福岡への移住を検討しているあやかしは、日本だけでなく世界各地にいるとか、いないとか。
しかし。
あやかしの世界は横のつながり、縦のつながりの強固な社会。
移住先は大抵口コミ、縁故だよりで決まるもの。
故郷を離れて新天地で暮らしたい! けれどアテもツテもない!
そんなあやかしの福岡移住&福岡生活を支えるべく、だいたい400年前くらいから頑張っているひとりの妖狐が福岡に存在した。
ーーそう。400年ほど前から。
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