裏切り者には復讐を

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裏切り者には復讐を

 復讐したい人がいる。 私の彼は一緒にいて楽しい人。 そして、同時に子供のような無邪気な一面も持った人。 彼は私が初めて好きになれそうだと感じた人だった。 彼に告白される少し前、私は街で偶然姉に会い、彼を紹介した。 その時かすかな違和感を覚えたが、それが何かはわからなかった。 時が経ち、私達が付き合い始めたある日、私は彼が姉と連絡をとっていたことを知った。 「もうすぐ君の誕生日だから、お姉さんに相談してたんだ」 彼は言ったけど、それが嘘だなんてことはすぐにわかる。 でも私達の関係が壊れてしまうのを恐れて、私は何もしなかった。 時は過ぎて、2人は別れるどころか堂々と付き合い始めた。 今は一緒に住んでいるらしい。 私はふられた。 許せない……。 あんな奴にとられるなんて。 そして復讐を思いついた。 姉を呼び出し、彼から引き離す。 呼び出したのは私の家。 姉が来たら手料理でもてなして、はしゃいで抱きつく。 泊まって行って欲しいと懇願する。 ほら、優しい姉は断れない。 一緒にお酒を飲んで、姉のコップの中に薬を入れる。 酔いが回った姉は気づかない。 これで明日の朝には終わる……。 私は彼に会いに行く準備を始めた。 「ニュースの時間です。 今日午前3時、◯◯マンションで爆発が起きました。 警察は原因を、ガス漏れに気づかずタバコを吸ったことによるものと見ています。 被害者は……さんと見られ、死亡が確認されています」 あくびをかみ殺しながらニュースを見る。 復讐は完了。 私の大好きな人は、これできっと私の元に帰ってくるだろう。 「男なんて、最低な奴ばっかり。 ねぇ、お姉ちゃん」 やっぱり、姉への気持ちを忘れさせてくれるような男はいないんだ。 私は隣で寝ている姉の頬を優しく撫でた。
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