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2.茉莉と謎の青年を乗せて馬は町を目指す
茉莉と謎の青年を乗せて馬は町を目指す。
沈黙したままの茉莉に青年は告げた。
「安心しろ。お前を売りさばくつもりなら逃げられないように縛るだろうし、馬に同乗させたりはしない」
彼のセリフにぞっとしながらも茉莉は自分も話しかけてみようと思った。
「あのっ、私、茉莉ってゆーんだけど・・・」
やはり勇気が出ずに最後のほうは及び腰になる。
彼は視線を茉莉に移して沈黙した。
「……」
(なに…この間は?)
と、疑わずにはいられない微妙な間だったが、彼は視線を進行方向に戻し、素直に名を名乗った。
「俺はレン 」
「へえ。レンかあ」
茉莉が納得する姿を、今度は奇妙なものを見るような目で見る。
そして彼は軽く嘆息した。
「なんだ。お前が別世界から来たというのは本当の話らしいな」
「なにっ?それってどういうこと!?」
茉莉は叫ぶが彼はそっけない。
「俺が知るかよ。話はテンに聞きな」
「テン?」
「俺のオトモダチ」
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