2話 幸せだったあの頃

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2話 幸せだったあの頃

「おーい!」 ドンっ 「うおっ?!」 僕は、驚いて転んでしまった。 誰かに、後ろから叩かれたのだ。 誰だろうと振り返ると、そこには…。 満面の笑みの君が、そこにいた。 「うししー、転んでやんのー。」 そう言って、僕を馬鹿にした。 いつものことなので、軽くいなした。 「やめろよな」 「私と一緒に帰ろうとしなかった罰だぜ!」 そうやって、君は笑った。 今、僕こと高橋光一(たかはしこういち)は、高校から下校している途中だ。 隣にいるのは、僕の幼馴染だ。 名前は、立花小百合(たちばなさゆり)。 名前に合わないような、男勝りな性格で、いつも何かとちょっかいをかけてくる。 小百合とは、昔からよく遊んでいて、お互いに関わり合っていた。 僕は、小百合を親友だと思ってるし、小百合だって、僕を親友だと思っているだろう。 高校生となった今でも、小百合とよく関わっている。 「光一、今日の数学のテストどうだった?」 「全く書けなかったわ」 「補修確定だな、お疲れ〜」 「まあ、予想出来てた結果だけどな」 「開き直ってないで、少しは勉強したらどうだ?」 「勉強するより、お前と話してた方が100倍楽しいよ。」 「言ってくれるぜ、この野郎〜。」 そんな、何気ない会話をしながら帰り道を歩いた。 なんの変哲もない、平凡な毎日。 学校に通い、授業を受けて、帰り道、小百合と話す。 そんな毎日が、幸せだ。 ずっと続いて欲しいと、心の底から思っている。 そうして、僕は家に着いた。 「光一、また明日な!」 「おう!じゃあな、小百合。」 僕は、家のドアに手をかけた。
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