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 いかにも性善説に納得させられたかのように「そうだな」と言って一歩下がると、仲裁者の彼もうんうんと頷いて引き下がった。その時、僕は初めて彼女と視線を交わした。『凛』の一文字を思わせる切れ長の瞳がよこす猜疑心たっぷりの重い視線と僕が送る威嚇も含む鋭い視線がぶつかる。今回は役立たずの演技は必要なさそうだ。 「井佐波英琉(いさなみ えいる)……だったか?史上最年少で臨床心理士の資格を有した天才でありながら、家族の情報が悉く存在しない謎多き少女ということで暫く色んな雑誌から追いかけ回されていたようだが、今は大分落ち着いているみたいだな」
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