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様子見に徹していたエイルがふむ、と顎に手を置いた。
「理想界、か。よく言うよ、人を閉じ込めておいて。そこまでして何を叶えるって言うんだ」
エイルの閉じ込める、という言葉に何か思うところがあったのだろうか、不良達の一人が扉の取っ手に手を掛けた。散々試していたのが一目で分かるような乱雑な手つきで横に引かれた扉は彼が思うよりずっと軽やかに開き、屈強な体をふらつかせた。
「お、開いてんじゃ~ん。行こうぜ」
扉を開けた体格の良い不良が早速中に飛び込む。
「その先大丈夫なの?気持ち悪いのとか私嫌だよ~」
文句を言いつつ金髪の女もその後に続いて扉の奥に消えていった。
「わかんねーけど大丈夫じゃね?行ってから考えればいーっしょ」
最期に呑気な言葉を上げながら日焼けした不良が扉の外へ消えていき、ガタンと再び部屋は途絶された。
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