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「危険だと感じたら先に行かせてもらうからな。さて……仕掛けか」  改めて殺伐とした部屋の中を見回すと、先程仲裁した茶髪の青年が俯いた少女の前に膝をついて懸命に話しかけていた。だが、少女は膝を抱えたまま一向に動き出す気配を見せない。完全に心を閉ざしてしまっているようだ。  心を閉ざした少女とそれに向き合う青年という構図。誘発した頭痛が僕の頭を襲う。日常生活の中でも時折感じている頭痛だが、今回は痛みが頭を割るような勢いで強い。ふらついた僕を支えたのは意外にもエイルだった。  頭を押さえた僕を心配そうな表情を浮かべたまま無言で壁へと導いた彼女は青年を退かせ、代わりに少女の前へと座る。激痛に歯を食いしばりながらも僕の目は自然とパーカーを追っていた。
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