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困惑する青年へと説明する少女を横目に僕は部屋の隅々まで目を走らせる。だが、特段変わったところはガラスの壁以外に見受けられない。ガラスの壁が開いてもう一つの部屋と繋がるという事は考えられなくもないが、それにしては簡単すぎる。あったとしてももう一段階、別の仕掛けが施されているのだろう。
「……そういうことか」
同じく顎に手を当てて思案していたエイルが呟いた。あれだけ僕を煽っていたこいつが僕らを置いて脱出用の扉を開けるなんて誰が予想できただろうか。
「ちょっと待っててくれ、すぐ戻ってくるから」と、扉の先へ消えていくパーカーの袖を掴む者は居なかった。
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