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すってんころりんころころりん。七転び八起きで達磨さんが転んで滑ってさあ大変。お池にぼっちゃん落ちまして、ドジョウが出て来てこんにちは。そのまま永遠に戻りませんでした!卵は割れたらそのままでございます。砂時計を逆転させて、時間を戻しましょう。四肢切断いたしましょう。麻酔処置から始めましょう。食肉加工はまたの機会にして、憧れの世界をいつまでも繰り返すだけにございます。
祈りを空に放ち、星は真っ直ぐ下りてくるのでございます。奇跡の燃え上がる未来を謳い続けて、響かせて、少女は小さく笑うのです。たのしそうに、すこやかに、のびやかに。
サテサテ、今宵もようこそ! ようこそ! ようこそ! ここは下天、夢まぼろしの如く、時間の許す限り興じる劇場。人間五十年でございます。サア、敦盛を舞うのですよ!
改めまして、本日もご来場いただきありがとうございます! 顔の良いお客様がいらっしゃいますね。グッドルッキングガイもいらっしゃるようです。右からべっぴんさん、べっぴんさん、べっぴんさん、五人とばしてグッドルッキングガイ! いえーい!
おおっと、怖い顔をしないでくださいませ。私よりも美しいモノなんて存在しないのでございます。
この世の常識でございますよ? 遅れをとっているのではございませんか?
申し遅れました。私は、夕焼けの精霊でございます。人間ではないのです。知っていますか?
人間以外の生き物でございます。エエ、私も生きているので、生き物になるのでございます。それが、人間からしたら死んでいる認識に値しても、私は生きているのでございます。そもそも、精霊の死の認識ってどうやってするのです? 私も知らないのですよ。何も考えられない傀儡ならば、死んでいる認識で良いかもしれないのですが、私はこの瞬間も考えて動いているのでございます。いわば、思考しているのでございます。私の灰色の脳味噌が事件の解決に役立つ事だってあるのですよ。ワトソン君がわからないことも、私にはわかるのでございます。だって、私はその名を世界に轟かせる名探偵でございます。
夢のなかでは。
中毒になる感覚も狂わせて差し上げましょう。命の声が聞こえるならば、心も見えるでしょう。救いを求めるならば手を差し伸べましょう。絶を求めるならば奪いましょう。信じた者さえ皆殺しにする。
それが、神様仏様こやけ様でございます。未来を信じるならば、過去を生きて欲しいのです。
それが、この劇場の掟でございます。なお、公演に先駆けまして、数多も押し寄せる幼い頃に聴かせた子守唄さえ誰もが心を奪われるものにございまして、暗闇の中で歌い続ける誰かの声に惑わされたならば、前へおいでなさい。
くるりらくるりら、ゆらめく視界が雨と共に流されるものでございます。罪深い子羊さえも生贄として捧げられ、蠢く影に戸惑い、泣き崩れれば、棘が突き刺さり胸を残照にやられるのでございます。鼓動を止めた瞬間、甘く染まるカラダを抱き、終わりなき命は孤独なまなざしを向けます。永遠を愛するには、同じように永遠を生きられないといけないのです。
前世からの因果さえも報えば、十六夜の空に鳥がはばたくでしょう。招いた戦慄は絶え間なき輪廻。微笑みを絶やさぬ人は怖いくらいに、手招きを繰り返すでしょう。それは、さみしいからなのかどうかは、永遠を生きねばわからないのです。死して生きるものはそういうものにございます。
咲いて乱れて散らかって、臓物がはじけとび、不幸を嫉み、青く染まる空に贖罪を求める。
向こうは楽しそうに賑わっているのに、こちらはどうして殺伐としているのでございましょうか。隣の芝生は自分には青すぎる。だから除草剤を撒きましょう。枯らしてしまえば羨ましくもなんともなくなるのです。斯くして、破滅は簡単におとずれます。
塩で頭を殴っても人は死ぬのです。豆腐の角に頭をぶつけて宝船に飛び乗りましょう。
雲海に沈んだしあわせな未来を見つけたならば、全ては、はじまりの場所へ。おわりを続けるために、流転するのです。
ここで見つけた的は矢で射止めれば、氷の花火を散らすでしょう。吹雪いた先で見た世界は、どんなものよりも美しく、可憐であり、上質な絹にも似ているものでございます。そう言ってホームズは笑ったのでした。
頭脳明晰、摩訶不思議、奇妙奇天烈、猥雑珍奇。すべてがすべて、おかしなパレード。【普通】のことなんてなく、どれもが特別なもの。
同じように、かんたんな言葉はそれだけむずかしくできているものにございまして、意味のないものは本当に意味がなく、コンデンスミルクをチュウチュウするようにスイートでございます。
トイウワケデ、このおはなしは元から、意味が無いのです。意味が無いという意味が存在しているのではございますが、それはまた別の議論といたしましょうか。
ここまでのお相手は、夕焼けの精霊のこやけでございました。さようなら!
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