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あーあああ――アー、兼ねてよりご覧になっていた劇場は、驚くべきお代は無料。お代は時間だけでけっこうでござい。心配ご無用。共通事項。平等に生きる地獄のおはなし。「私」が見てきたマコトの話。
三千世界の金持ちを集め、氷柱にヒジ圧し、おでんにスジ推し、暖簾に腕押しで、やることは全て同じ、標本作成。目も当てられぬ無脳ばかり。我らが欲するは、有脳。有脳人種の脳こそが、無脳への希望であり、奇跡の体現となる。故に、我らは進化を選び、退化を進める文化を認めず、狂者と呼ばれた。
「私」の知らぬ間に白波は押し寄せ、くべられ、火は飛び散る。アイタタ、アイタタタ――、ぐるんぐるん回る眼球を白黒させ、脳をすするや、悲しや哀し。これが地獄にございますれば、極楽浄土の道は、如何にや。輪廻の道から外れしモノに、与えられたは、不条理か。未知の危険に侵され、達者なモノに愛されて、血に飢えるケダモノにござい。
しからば、右手を空へ、左手を海へ、足りぬ足りぬと渇いた喉を癒し、アララ、落ちていく。おちていく。おちていく。
これは治癒ることはありませぬ。そういう風に「私」はできているのですから。
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