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「二丁目公園のタコの滑り台んとこに、すっげー落書きしてあんだ。朝のラジオ体操してたじいちゃんが見つけたんだ。悪いことするヤツいるんだな」
休み時間にさとるが教えてくれた。
「落書き? あそこの公園、トイレにも落書きしてあったじゃん? そういうんじゃないの?」
「違うよ。もっとデッカイの。じいちゃんが言うには、スプレー? そういうので書いたヤツみたいだよ。黒いので、ばぁっとなんか英語みたいなの書いているの」
「へぇー。消せないヤツ?」
「消えないんじゃないかなぁ。町内会の人が後で公園の管理の人に電話するって言ってた」
二丁目公園は、さとるンちの近くだ。学童からの帰り道、見に行こうかな。そんなにヒドイ落書きなんて一体誰がしたんだろう。
「そういうのって、警察の人にも見てもらわなくちゃいけないんだよね」
隣で話を聞いてたらしい史佳ちゃんが参加してきた。
「キブツソンカイっていうんだよ。前にね、うちのシャッターに落書きされた時、警察の人が来たよ」
史佳ちゃんちは和菓子屋さんだ。商店街で、さとるのお母さんが働いているパン屋さんと同じ並びにお店がある。
「それ、いつの話?」
ぼくは史佳ちゃんに訊いた。史佳ちゃんは顎に手を当てて、うーん、と考え込んだ。
「去年の春くらいだったかなぁ。二年生になる前だよ」
「ずいぶん前じゃないか……」
さとるは口を尖らせた。
「でも、黒いスプレーだったよ?」
史佳ちゃんは負けずに言い返した。
「落書きしたら、警察に連れて行かれちゃうの?」
そんなの知らなかったなぁ。ぼくは目をパチクリさせた。
「当然よ! 人のモノに落書きしたんだもん。消すの大変だったんだから!」
史佳ちゃんはほっぺをふくらませた。
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