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呆然とした俺の声が聞こえていない彼女は、大きく息を吐いて、もう一度俺を見た。
「待ち伏せなんてしてしまってすみません。だけどこっちに遊びに来た時に、偶然あなたを見て、ちょこっとここら辺で聞き込みをして、あなたがここの先生だって知って……って、つまりはですね!」
目の奥がじんじん痛む。熱いものが体の底から喉元へせり上がってくる。
ああ、本当に、お前だ。
「一目惚れしました……! きっと前世からあなたを探していたんだと思うくらい、ビビッと来ちゃったんです! だからどうかお付き合いしてください!」
聞いたことのあるその台詞に目に涙がにじみ、俺は思わず眉をハの字にして破顔した。
「待ちくたびれたよ、ばか」
「え?」
梅子が自殺をしてから18年。そして目の前の彼女は恐らく18歳くらい。
生まれ変わり、なんて、そんなの信じていなかったけれどそう考えれば辻褄が合う。
彼女はきっと、再び奇跡を起こしたのだ。
『綾木くん、わたしね、綾木くんへの愛でどんな奇跡も起こす自信があるよ』
その言葉の通り。
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