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二話
朝の食事は、まず祈りから始まる。
神官全員が食堂に着席し、思い思いに黙とうを捧げる。
日々の恵みを与えてくれる糧に感謝を。
他の命を口にせねば生きられぬ、肉体に対する懺悔を。
「神の恵みを、我らへ。神の祝福を、巫女へ」
老いた祭司が、空の杯を掲げる。その言葉を合図に水差しを持った若い神官たちが、各テーブルへ飲み物を注ぐ。
通常の神官たちには、透明な液体を。
巫女や巫女見習いには、薄紫色の液体を。
皆のグラスに液体が満たされてから、アザレアは重たくなった杯を掲げた。
「祝福をお与えくださり、感謝します。我らの心と体を、清らかにお保ちください」
巫女長の言葉で、皆は食事を始める。
静かな朝食の風景を、既に別室で食べ終えていたシェドは暇そうに壁際で眺めていた。
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