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☆勇者の進撃
☆
「勇者様ぁ。この辺で休みましょう。最後の関門まであと3つ。勇者様と私たちなら赤子の手をひねるようなものですよ」
(赤子??いや、それって悪役のセリフじゃ?聖女だよね?)
勇者ミオは眉間に皺を寄せて、思わず聖女ソフィアをにらんでしまった。すると物凄く傷ついたような顔を見せられる。
後方の戦士タルカン、魔法使いシルダは可憐な巨乳美少女のそんな表情を見て、庇護欲を刺激されたらしく、ミオに対して無言の圧力をかけてくる。
(いやいや、あんたら。聖女がこれじゃあかんでしょう?)
そう思ったが、魔王をさっさと倒して帰りたい彼女は物事を穏便に済ませることにした。
「ソフィア」
ミオの声は少年に間違われるくらいの女性にしてはハスキー。
聖女には名前を呼び捨てで呼んでくれと頼まれているので、彼女は聖女を見つめるとリクエスト通り敬称なしで呼びかけた。
「勇者様」
瞳を閏ませて、ソフィアはミオを見上げる。
(うぜぇ。まじ。こういう仕草が男受けするのかよ)
内心砂を吐きそうな気分であったが、ぐっと堪えて聖女を見据えた。
「油断は禁物です。ここはいち早く魔王の元まで進み、倒しましょう。そうして、シルダの転移魔法で一気に城へ戻ればいいのです」
「確かにそうね。城に戻ったらたっぷり私の相手をしてくださいませね」
意味はわかってますよね?そんな意志が込められた視線を浴びせられ、ミオは吐き気がこみあげてきて、口を押える。しかしどうにか耐えて笑顔を浮かべた。
「はい。さっさと魔王を倒して帰りましょう」
(魔王を倒したら、とっとと日本へ帰る)
固く決心して、ミオは纏わりつこうとする聖女を躱しながら、足を進めた。
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