☆勇者の迎撃

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☆勇者の迎撃

「おかしな気配がする」    勇者ミオは何やら胸が締め付けられる感覚を覚えて、立ち止まった。 「気配ですかぁあ?ああ、これは!!!」  始めは、いつもの通りあざとい笑みを浮かべていた聖女ソフィアだが、急に頭を抱えて座り込む。 「ソフィア殿下!」 「こ、これは!」  戦士タルカンがソフィアに駆け寄り、魔法使いシルダが後方を睨む。 「勇者様、魔王が、魔王が近くにいます!」 「魔王?この気配が?」  ミオはタルカンに支えられ立ち上がったソフィアに問いかける。 「ええ。そうですわ。間違いありません。私は聖女ですもの」  頭を抱えていたはずなのに、なぜかすっかり元気な様子でソフィアは大きな胸を反り、ぷるるんと揺らした。 (ああ、そうでしたね。あんた、一応聖女だった)  内心思いっきり突っ込みを入れたいところだが、何も答えず魔王がいるはずの後方を睨んだ。 「これは!」  衝撃音と同時に地面が揺れる。  そして炎が森から噴き出してきた。 「逃げなきゃ!」 「待って、ここで待っていたら魔王がくるんですよね?」 「勇者様!何を言っているんですか?ここで待ったら焼け死んでしまいますよ」 「いや、私の水の魔法で氷の壁を作るから大丈夫」  ミオはとっとと日本の家に帰りたかった。  この異世界では自身が最強だと自負しているため、逃げだそうとする一行を止めて、氷の壁を作り出す。 「アイスウォール!」  異世界の魔法がなぜか英語で、しかも小学生で習うような単純な単語ばかり。  それもあって彼女が魔法の暗唱で困ることはなく、最強の魔法使いのシルダは舌を巻いて驚いていたものだった。  ミオの呪文に呼応して、彼女を中心に2メートル範囲で氷の壁が形成される。 「さすが、勇者様ぁん」  甘えた声で褒められても、吐き気を催すだけだったのが、とりあえず問題は起こしたくないのでお礼だけは言っておいた。 「お褒めいただき光栄です」
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