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三日目
今日も上履きは戻っていなかった。
それを確認して教室に向かった。
「うわっ、白土菌が付いた」
男子が集まっている机の横を通ったら一人がそう言った。
「うわー、お前にあげるわ」
別の男子に手を擦り付けていた。
「ちょ、やめろよー」
そう言いながらも示し合わされたように男子たちは擦り付け合いを始めた。
エスカレートしてくる悪口を我慢して終わるなんてことはなかった。
はじまりは些細な事だった。
「ん?なんか少なくない?」
と、体育の先生が言うのも無理はない。
朝は全員揃っていたのに五人ぐらいいなかった。この時も少し嫌な予感がしていた。
体育が終わって昇降口に向かうと、学校中がざわざわしていた。
授業の間の休憩でうるさいのはいつものことだけど何か様子が違った。
なんだろう。
教室のある二階に行き廊下を歩いていたらそれは見えた。
中庭の中心から薄い灰色の煙が上がっていた。
焦げ臭い匂いが漂い、大量の灰が飛んでいた。
「ごほっ‼」
煙を吸い込んでしまい、むせた。
な、なにを燃やしてるの……?
煙を吸い込まないように体操服を口にあてておそるおそるそれを見た。
一メートルほどの高さまで上がる炎の根本。
最初に見えたのは教科書のようなものだ。
もう燃え尽きかかっていて、灰を噴き出していた。
その下にあったのはリュックだ。
コンロやガスバーナーの炎はきれいなのになんで焚火はこんなにも汚いんだろう、と思った。
うすうす気付いていたけど認めたくなかった。
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