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 また後で、と二郎君が踵を返す。俺は包帯が巻かれた左の手の平を見る。二郎君に嘘をついた。罪悪感は、もちろんある。それに二郎君とはやらないようなことを白波君とやってしまった。夜中に呼び出されたので会いに行き立ち小便を見守り車内でふたりきりになり怖がる彼は俺に縋りついてきた。事実をありのまま文章に起こすと浮気っぽくて胸が痛む。いや、立ち小便を見守ったのは、浮気ともちょっと違うか。あくびをしながら自室に入る。夜に二郎君と会う予定が入ったのだからもう日中起きている必要はない。靴を脱ぎジャケットを床に脱ぎ捨てベッドに飛び込むように寝転がった。二郎君と晩ごはん。久しぶり。超楽しみ。何食べようかな。町内で食べられる晩ごはんとなると限られているが。利き手を怪我しているのをいいことに、あーんとかしてもらおうかな。思わず拳をに力が入る。ヒリヒリとした痛みが走って一気に冷静になった。自分のメシぐらい自分で食え、俺。
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