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 コンビニの目の前にプレスカブを停めてヘルメットを前カゴに突っ込む。ミニストップ。フォンダンショコラの広告が見えて冬であることをしみじみと感じた。プレスカブに乗っていた時にはきちんと栄養バランスを考えたメニューの組み合わせを思い描いていたのに結局はフォンダンショコラを頼んでイートインスペースで食べてそれを晩ごはんということにした。帰ってシャワーを浴びて寝ようと思い立ち上がった所でスマートフォンが鳴った。見ると白波君からメッセージが届いていた。 「火の玉見たって言ったら信じる?」  詩か何かかな?と頭の中ですっとぼける。とりあえず「見たんですか」と返信しておく。 「見た」 「へー」 「助けて」 「どうやって」 「来て」 「どこ」  送られてきた地図データによると白波君は南郷地区の田んぼのど真ん中にいるようだ。彼は富谷市に住んでいるはずだ。富谷に帰るのにどうして南郷まで行ったのだ。方向が違う。俺は空になったカップをゴミ箱に捨てて中華まんとコーヒーとお茶を買ってコンビニを出た。仕方ない、とりあえず行ってやるか。
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