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プレスカブで走ること約15分。田んぼの広がる道のど真ん中で緑色のフィットは静かに俺を待っていた。後ろにプレスカブを駐めて助手席のドアを開ける。運転席に半泣き状態の白波君が座っていた。靴を脱いで膝を折り曲げて背中を丸めている。手にはEMF探知機。ビビりながらもやることはきちんとやっている。中華まんを差し出すと涙声で「ありがとう」と言ってダッシュボードにEMF探知機を置き中華まんを受け取った。
「反応はどうですか」包みを開く白波君に俺はEMF探知機を指差しながら聞く。
「反応なし」
「霊魂ではないと」
「わからん」
火の玉と言ったのだから宙に浮く発光体ではあるのだろう。常識的に考えれば歩行者が持っている懐中電灯の明かり、とかになるのだろうが、白波君がそれを火の玉と呼んで怖がっているとは思いたくない。寒い思いをしてわざわざここまでプレスカブで来たのだし。
「大きさは」
「一番近くで見た時には硬球ぐらいあった」中華まんを半分に割る。「食べるか」
「もうほかの食べたのでいいです」
「そうか」
「飛び方は」
「結構まっすぐ飛んでた。速かった」
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