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漂流
生まれ落ちたのは新宿だった。空にも届きそうなビルがいくつも立ち並び、電車はまるで蜂の巣だ。
幼い頃、東京に出た近所の兄ちゃんが「東京ってすごいんだぜ」と標準語で豪語してた言葉を思い出した。とりわけ景観が凄まじいのは認める。
しかしボクは東京は嫌だ。とにかく、生きるために危険を晒しながらも食料を求め続けた。
そんなとき、ボクはうまく貨物車に忍び込み、沖縄行きのフェリーに乗り込むことができた。
食堂で船員に見つかり、ジリジリと追い詰められ、とうとう船の先端からダイブをする羽目になった。
ボクは必死に泳いだ。やがてどこかの海岸にたどり着いていた。
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