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第二章『組長side』
・・・・・・
「なぁ、あれって組長じゃね?」
マサが道路を挟んだ向こう側の道を歩く人物を指し示しながら言った。
「えっ、どこどこ?・・・あっ、本当だ」
隣を歩くリナもその姿を確認。
「スーツ着てどこかに出掛けるのかな?」
さらにその横のタカが組長の服装に興味を抱く。
「もしかしてデートとか?」
「それはねぇだろ。まず相手いねぇし」
リナの言葉をマサがバッサリ否定し、続けて予想。
「もしかしたらお見合いとかだったりして。スーツだし」
「まさかね」
タカが苦笑いで否定する。
「面白そうだし付いて行ってみようぜ」
マサがとんでもない提案。
「組長の邪魔しちゃ悪いって」
「それにこれからうちに集まる予定だし」
二人が揃って止めるも
「じゃあ、俺一人で行くからお前らはタカの家に集まっとけよ」
好奇心旺盛なマサは自分の意見を曲げない。
「も~、わがままなんだから」
「ナオ達には僕が連絡入れとくよ」
結局折れる二人。
なんだかんだで二人共気にはなっていたようだ。
三人は横断歩道を渡って向こう側へ。
「組ち・・・市後さ~ん」
危ない、危ない。
危うく組長と呼ぶところだった。
さすがに公衆の面前ではマズイ。
そんなんで怒られるのは勘弁だ。
ちなみに組長の本名は市後大福。
今はきっぱり足を洗っているが、元ヤクザの市後組の組長。
市後組長のことを詳しく知りたい方は本編第1弾『俺達のいたずら屋敷』をご覧下さい。
急に名前を呼ばれた市後はびっくりして振り向く。
「お前らは・・・こんな所で何してるんだ?」
マサ達を見た市後は明らかに一瞬気まずい顔をした。
何かマサ達に見られてはマズイことでもあるのだろうか。
「ちょっとぶら~っと。組長こそ、そんなオシャレしてどこへ?」
「別にオシャレなんてしてねぇよ。普段着さ」
「またまた~。もしかしてお見合いとか?」
マサが核心をつく。
「なっ、そっ、そんなわけないだろ」
図星だ。
「もぉ、マサ。あんまり組長のプライベートに踏み込んじゃダメだよ」
タカがストップをかける。
「じゃあ、組長頑張って下さい。さっ、行きましょう」
リナがマサの手を引き、タカが背中を押してその場を離れようとする。
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