第三章 自己を見つめる

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目が覚めた。どうやら寝てしまっていたようだ。僕とベッドとドアしか存在しないあの薄暗い部屋の中、僕はいつものようにベッドを降りて、暗い床の上を歩いた。 彼との会話が終わると、僕は必ずベッドの上にいた。どうやら彼と話し終えた時や自分の中で状況に区切りがついたと感じた時、僕はここに戻ってくるようだ。 ドアの前にはすぐに到達した。どんな時でも絶対にドアの反対側は彼がいる空間へと繋がっている。だから今まで僕は何度も何度もこのドアを開けてきた。彼と会ってきた。だけれど、どうしてだろう。ドアノブに手をかけた時、僕は突然不安になった。 僕は思ったのだ。 あと何回、彼と話せるのだろうと。
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