ひとつのこと

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 机の上に封筒からも出た状態になっている。他の人の者は見てはいけない決まりだから今まで考えたこともなかったけれどユマはどんな神託をいただいたのだろう。  いけない、と思いつつ紙を手にとる。そこには私の神託書と同じような筆跡で 「……命の長さ以外は妹より優れている」  と書かれていた。  ああ、だからユマは私を怒ったんだ。自分が先に死ぬとわかっていたから、山の仕事を私に継がせるため必死になっていたんだ。  そして私がユマより優れていたひとつのことはこの命の長さだけ。ユマにお菓子づくりをやらせたらきっと私よりおいしいものを作っただろう。 「……っ」  気づけば怒りに任せて神託書を破り捨てていた。
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