ひとつのこと

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「今、息を引き取ったところだ」 「……えっ」  横になっているユマの頬に触れる。まだほんのり温かかった。眠っていると言われたら信じてしまうくらい。  だけど久々にみるユマの顔は少し瘦せたようにも見えた。もしかしたら無理をしていたのかもしれない。 「……ユマはどうして?」 「一昨日急に倒れて、医者に見せても原因がわからなくて……そのまま熱が出てうなされ続けていたわ」 「そ、っか」 「まさかこんなことになるなんてな」  父も祖父も頭を抱えている。それほど急なことだったんだろう。  ユマがこんなに早く、祖父母よりも先にいなくなるなんて思いもしなかった。葬儀は明日開かれることになり、私は今日泊まることになった。 「エマの部屋は物置にしちゃってるから、ユマの部屋で寝て」 「わかった」  渡された服もユマが着ていたものだ。懐かしい石鹸の匂いがする。着替えてユマの部屋に入るときれいに片付いていた。  私と同じ家具と間取りなのに掃除がしっかり行き届いていて、だからなぜか出しっぱなしになっていた神託書の紙が目を引いた。 「あ、れ……」
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