0人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな私の存在をユマは疎ましく思っていたようだ。いつも怒られていた。
「まだできないの?」
「う……」
「お母さんがこんなに懇切丁寧に教えてくれているのになんでわかんないかな」
「……」
「ちゃんとできないと揺り籠はなくなるんだよ? 万が一にもお母さんがケガをして作れなくなったりしたらご飯だって」
「まあまあユマ。エマだってがんばってるんだから」
「お母さんはエマに甘すぎる!」
怒りながらもユマの手は止まっていない。どんどん編みあがる美しい揺り籠を手元のいびつな揺り籠を見比べると気持ちが沈んでいった。
居たたまれなくなった私は作りかけの揺り籠をそのままに部屋に戻った。大きく息を吐きながら思い出すのはいつもあのことだ。鍵の付いた棚に入った1枚の紙を取り出して読めばそこには事実が書かれている。
(生まれた時から自分の人生知らされるなんて残酷すぎる)
最初のコメントを投稿しよう!