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『ピロロ、ピロロ、ピロロロロォ』
びっくりしたね。その丸さといかつさのある物体が、甲高い鳴き声でピロロという奇想天外な声を上げたんだからさ。どれくらいの高さかっていうと、鳥の鳴き声と同じかそれ以上の高さかなぁ。それにしても独特の響きだった。
とにかく、僕は再び聞いてやった。
『おい、今のはどういう意味だよ』
でも、その物体は湯気を出さなくなって、中のボココボココボココボココっていう唸り声もピタリと止ませてしまった。
なんとか言えよって思ったとき、突然、ノシノシミシミシという音が近づいてきて、ガチャンという音と共に、白い大きな岩壁が割れたんだ。
もちろん一目散に逃げたよ。何せ相手はあらゆる奇跡を起こす巨人ニンゲンだ。出会い頭に岩を割って侵入してくるという、物凄い魔法を見せつけてきやがった。いくら僕がホワイトドラゴンの末裔でも、そんな恐ろしい生き物には勝てない。
多分だけど、その白い物体も人間が来ることを予感して大人しくしていたんだろうね。まあ、そのあと人間に襲われて、頭を真っ二つにされてたから無駄な努力だったんだろうけど。
でも、あの物体は不可解なのは、それだけじゃないんだよ。
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