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第三話
三ヶ月後。
「おい、ボウズ。そんなところで寝たら風邪ひくぞ? コレやるよ」
公園の草むらの陰で横になっていた俺に、一人の老人が近付いて来ると、老人のヨレヨレの服と同じように、ボロボロの段ボールを俺にかぶせてくれた。
「……ありがとう……ございます」
今の俺も、この段ボールや着ているパーカーと同じでボロボロだった。
「ボウズ、腹減ってないか?」
その優しい言葉に、涙があふれそうになる。
とっくに金も底を尽き、俺は食うものにすら困っていた。
こんな未来を俺は想像できただろうか?
この先も、俺は……浮浪者として生きていくしかないのだろうか?
老人が手渡してきた新聞紙の包みを受け取ると、中には賞味期限がとっくに切れている、おにぎりが入っていた。
それにかぶり付いていると、落ちた新聞紙の見出しが目に飛び込んだ。
[アパート火災で男を逮捕!]
食い掛けのおにぎりもよそに、それを手に取った俺は記事に目を走らせた。
記事によると、犯人の男は無差別テロを計画していたそうで、ネットで爆弾の作り方を調べ、さらに被害が広がるよう、そこへ細菌を仕込んでいたらしい。
それが何かのきっかけで起爆してしまったようだと書かれていたが、そこにある犯人の顔写真は……隣の部屋のヤツだった。
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