第三話

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 なぜ……この男が?  混乱している俺に、男は口を開いた。   「ずいぶんと探しましたよ。いつかはここに戻って来るだろうと考えていましたが、予想通りでしたね」  俺を……探していた?  その言葉で、今までのことが頭を駆け巡った。  この男が謝礼で持ってきたものは、危険なものではなかったはずだ。  アパートの火事にしても、結局は頭がおかしい隣のヤツがした……って、いや、それもすべて仕組まれたものだとしたら?  本当は無実だったのに、アイツは……俺のせいで巻き込まれたというのか?  それが事実だとしても、悪いが今はアイツのことまで考える余裕はない。 やはり、この男が持ってきたものは……。  俺の頭は、ますます混乱していた。 「セイ様の財布は、どうされましたか?」  ……財布、だと?  この男は、あの老婆の財布を俺が盗んでいたのを知っていた。  だからといって、たかが金を盗んだだけで、こうして拘束までされる意味が分からない。  ありのままを伝えようとしても、口を縛っているタオルが邪魔だったが、男の合図でそのタオルが外された。 「すみません、ほんの出来心だったんです! お金を抜いて……財布はコンビニのトイレに捨てました。本当にすみませんでした!」 「その時、財布の中身は見ましたか?」    財布の……中身?  あの時、俺は数万円の金だけ抜き取って、ほかに入っていたものは見もしないで、そのまま捨てていた。 「いいえ、見てません! あの時、お金だけ抜いて、すぐに捨てたんです!」 「……そう、ですか」
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