振り向いて、安芸くん!

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自分の浅はかすぎる行動に額に汗が滲んだ頃、安芸が何とも艶めかしい表情を浮かべた。 「これって、思ったこと正直に言っていい?」 相変わらずシャツの前を肌けさせたまま、俺はコクコクと何度も頷いた。 この際だ、何でも言ってくれ!改善できる点は改善するし、育乳だってする!なんなら、悪魔(妹)に乳について相談したっていい! しかし、安芸から出た言葉は俺の想像の範疇を超えていた。 「…正直、男の胸とか今までじっくり見たことないけど花菱のは凄く綺麗だなって思った。なんか、すごい肌白いし乳首もピンクだし…こんなこと言うとあれかもだけど、そそられた」 ……………はっ!!!!やばい、予想外すぎて一瞬意識飛んでた。 嬉しい…嬉しすぎるんだけど、何故だろう。恥ずかしくて穴があったら入りたいような気持ちになってくる。 乳首の色なんて気にした事なかったけれど、そうか、俺の乳首はピンクなのか。しかもそそられてくれるのか。そうかそうか………恥ず!! 「花菱、顔真っ赤。自分から見せてきたくせに」 そう言って笑みを浮かべる安芸の顔は、何だかSっ気が滲み出ていて更に顔が熱くなった。 え、俺ってもしかしてMなのかな。ドキドキが止まらないんだけど。 「やっぱ、花菱って可愛いよな……本当結構やばいかも」 最後の言葉は小さくてよく聞こえなかったけれど、また可愛いと言ってもらえた事が嬉しい。 えへへと照れ笑いを浮かべつつ、羞恥で汗が滲んだ手でシャツのボタンを留めた。 **** ―――その日の夜。in 花菱家。 「那月(なづき)!!!!俺の乳首ってピンク?!」 「はあ?いきなりキモい事言ってくんな、クソ兄貴」 「いいから見て!」 「……チッ。今、アニメ見て幸せ気分に浸ってたのにまじうざいんだけど。……は、てか男のくせにめっちゃピンクじゃん。うける」 「え?!うけるの?!なんで?!」 「あーもーうざい!!あっち行って!!」 「ちょ、那月!話はまだ終わってない!!」 …という、兄と妹の会話が家中に響き渡り、両親はとても困惑したそうな。
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