26人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、良かったじゃん! すぐに良い人に出会えて」
「う、うん……」
「おめでとう」
突然の報告に戸惑いながらも、最後には笑って祝福してくれる親友。
そんな彼女の笑顔に、心がズキンと痛む。
「ねえ、年上? 年下?」
「二歳上の人だよ」
「写真はないの?」
「一応、あるけど……」
「見せて!」
スマートフォンに一枚だけ入っている写真を見せると、麻衣は悲鳴をあげて凝視した。
「ちょっと! めちゃくちゃイケメンじゃん! クールで頭良さそう」
「頭は良いみたい……」
「どこに勤めている人?」
「○○商事だよ」
「ええー! エリートしか入れない大手企業じゃん! ちょっとあんた、こんなハイスペックな人をよく捕まえられたね……」
「あはは……」
色々な意味で、私は笑うしかなかった。
遠く離れた両親に「同棲している相手がいる」と電話で伝えた時も、こんな反応だったな。
お父さん、お母さん、麻衣……。
嘘ついて、ごめんね。
でも、そうするしかないんだ。みんなを守るためにも……。
絶対、誰にも言えない。
この新婚生活は、周りが思うような輝かしいものじゃないんだ。
最初のコメントを投稿しよう!