偽りの夫婦

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「でも、良かったじゃん! すぐに良い人に出会えて」 「う、うん……」 「おめでとう」  突然の報告に戸惑いながらも、最後には笑って祝福してくれる親友。  そんな彼女の笑顔に、心がズキンと痛む。 「ねえ、年上? 年下?」 「二歳上の人だよ」 「写真はないの?」 「一応、あるけど……」 「見せて!」  スマートフォンに一枚だけ入っている写真を見せると、麻衣は悲鳴をあげて凝視した。 「ちょっと! めちゃくちゃイケメンじゃん! クールで頭良さそう」 「頭は良いみたい……」 「どこに勤めている人?」 「○○商事だよ」 「ええー! エリートしか入れない大手企業じゃん! ちょっとあんた、こんなハイスペックな人をよく捕まえられたね……」 「あはは……」  色々な意味で、私は笑うしかなかった。  遠く離れた両親に「同棲している相手がいる」と電話で伝えた時も、こんな反応だったな。  お父さん、お母さん、麻衣……。  嘘ついて、ごめんね。  でも、そうするしかないんだ。みんなを守るためにも……。  絶対、誰にも言えない。  この新婚生活は、周りが思うような輝かしいものじゃないんだ。
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