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「忘れていないだろ? この星の人間は皆、『人質』だからな。君が俺の言う通りに従わなかったり、俺の正体を誰かにバラしたりしたら、一瞬で地球が吹き飛ぶからな?」
「わかってるよ……。そもそも、旦那が宇宙人ですーなんて言ったところで、誰も信じないから」
「だが、言ったりしたら……」
「言わないってば」
本当に、笑いたくなってしまう状況だ。
友人や両親、知人の誰が、私たち夫婦のこんな会話を想像できるだろうか。
正確に言うと、『協力者』と言うよりも『脅されている』だけ。
どうして、こんなことになってしまったんだろう……と、何度も思い返す。
あの夜、外に出てしまったことが間違いだった。
ううん。きっと、もっと前からだ。
子供の頃から、なぜかUFOに遭遇することが多かった。
見つける時は決まって誰もいない状況で、後日そのことを周囲に話しても信じてもらえなかった。「またUFO発言してる」と、不思議ちゃん扱いされるだけ。
だから、いつしか、自分が見たものを話さなくなっていた。「UFOを呼び寄せてしまうような波長を出しているのかもしれない」なんて言ったら、笑われるだろう。
そんな私が彼に出会ったのは、約一ヶ月前。
忘れもしない一月四日、三大流星群の一つ『しぶんぎ座流星群』の活動が活発だった日。
そして、私の二十三歳の誕生日。
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