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9日目『恋するマンスリー・デイ』/サザン 7th Sg
⭐️収録曲:
1.恋するマンスリー・デイ
2.青い空の心(No me?More no!)
⭐️発売日:1980年3月21日
⭐️最高位:23位
⭐️売上枚数:6万枚
あまりにも楽曲がマニアックすぎてサザンの勢いにブレーキがかかってしまったシングル『恋するマンスリー・デイ』。サザンのシングルが出る度に、拍手をして迎え入れてくれていたファンの皆さんや業界関係者は、その両手を止めて、しばし、唖然としてしまったのではないでしょうか。
嫌が上でも新たなるサザンを受け入れなければならないと悟った瞬間、セールスはガクンと落ちてしまいました。あのメディアでドンチャン騒ぎをしていたサザンはどこにも見当たらなくなってしまいました。それは、やはりファンとしては寂しかったんじゃないでしょうか?
・・・かと言って、この曲が劣っている曲だというわけではありません。 この曲は、サザンならではのレゲエサウンドを非常に絶妙に取り込んだ奇跡の名曲です。でもギャップがありすぎたんでしょうね・・・先取りしすぎたんでしょうね・・・とにかくすさまじい展開なのです。
“ファイブ・ロック・ショー”自体、多少は大衆ウケを狙ったのでしょうが、基本は、サザンの音楽性の魅力をさらけだしてしまうコンセプトがあるのでは?自分達は型にはまらないバンドなんだ!というような・・・。
この曲で、一番興味深いのは、やはり歌詞です。“ユウコさん”なんて全面に出し、メディアやマスコミから狙い撃ちされてしまうリスクも覚悟してのことでしょう・・・。そして、“マンスリー・デイ”というテーマもスゴイ楽曲。
当時、女性の“性”について歌う曲なんて、男性が、ましてやバンドが歌うなんてありえないことだと思います。コンプライアンスにうるさくなってきた現代においても高いハードルにあるテーマです。あえて挑もうとするミュージシャンもあまり考えつかないし、特に第一線で活躍するバンドの、ましてやシングル曲としては異例の極みです。
そもそも、“ユウコさん”と“マンスリー・デイ”が結びついたのは、とりわけ深い意味など実は無かったのです。きっかけはある一つのエピソードによります。
時は遡ることサザンがメディア休業宣言を出した後、メンバー全員で、アメリカのロサンゼルスへ渡航していました。その旅の途中、ハワイの税関で、その事件は起きました。税関を通る際に、急に、原さんが「お腹が痛い」と言い出したのです。
メンバーは、さほど気にする事ではないと思っていましたが、そばにいた税関のおばさんが真顔で「マンスリー・デイ?」と聞くのです。そんなちょっとしたエピソードから繋がってしまった、“由子さん”と“マンスリー・デイ”が、そのまま歌になってしまいました。いやはや、桑田さんのセンスは凄い。
そんな曲があっての波及効果なのか、1年後、桑田さんが「アンネナプキン」のCMに出演することになります。当時も今も、男性が生理用品のCMに出演するというのは考えられないことで、「僕は、男にも生理があるべきだと思います。偉大なる女性に感謝」というコピーとともに、このCMは好評となりました。
サザンのワイセツな歌詞が広く認知されても決して誤解されないのは、あからさまに下品にならない、絶妙にセンスの良い楽曲と、それと同意義で作者の桑田さんの真心とも言える、いたわり的(バラードで培われた?)なキャラクターの賜物ではないでしょうか?
これからも、サザンは公然と、浮き沈みの激しい時代の荒波を、ワイセツさと真心の絶妙なバランスを持って、40年以上も突き進み続けていきます――。
本当に“功績”と呼ぶには、あまりにもスケールが違う、奇跡なる軌跡です。
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