14日目『シャ・ラ・ラ/ごめんねチャーリー』/サザン 11th Sg

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14日目『シャ・ラ・ラ/ごめんねチャーリー』/サザン 11th Sg

⭐️収録曲:  1.シャ・ラ・ラ  2.ごめんねチャーリー ⭐️発売日:1980年11月21日 ⭐️最高位:29位 ⭐️売上枚数:7万枚 サザン初の両A面シングルとなった『シャ・ラ・ラ/ごめんねチャーリー』は、リリースラッシュとなったにもかかわらず、予想外に“悪戦苦闘”となった80年を象徴するシングルとなりました。 楽曲の出来は素晴らしく、まず1曲目は、A面のシングルとしては初のデュエット曲『シャ・ラ・ラ』。リリース時期を意識してか、クリスマスバラードとして仕上がっている『シャ・ラ・ラ』は、多くのミュージシャンにもカバーされていく名曲です。 桑田さんと原さんがいなければ成立しない曲であり、桑田さんのソロコンサートで披露される度に、必ず原さんがサプライズ出演するという“お約束的”なものも生んでいます。時代を越えても瑞々しいメロディとアレンジは、決して色褪せない奥ゆかしいバラードです。 2曲目の『ごめんねチャーリー』は、また対極的なファンクテイスト。のちに『いとしのエリー』をカバーすることとなる桑田さん憧れの存在“レイチャールズ”をモチーフにした曲であり、宇崎竜童さんや、もんたよしのりさん、まで登場し、彼らへのオマージュソング的な要素も含まれています。 楽曲の勢いとは裏腹に、ライブで演奏されたのも当時のみであり、あまり取り上げることも久しく無い、地味な位置づけの曲ですが、また日の目を浴びる日を期待しております。 そんな異種曲を1枚にまとめた個性的な両A面シングルですが、それにもかかわらず、ヒットにいたるとまではいきませんでした。それは、やはり、凝りすぎというのか、大衆性を求める“シングル”とは一線を画したマニアックなものだったからでしょうか。 2曲に共通して、アレンジャーに八木正夫氏を迎え、やはり、ガラリと趣を変えたサザン。しかし、前年までのシングルで確立されてしまった大衆的な“サザン”という世間のイメージからは、少しかけ離れているシングル曲が、80年は続いてしまいました。 もし、この年で、シングル曲をリリースするならば、『涙のアベニュー』と『いなせなロコモーション』、はたまた原さんがボーカルを務めた『私はピアノ』あたりが、大衆向けでサザンのイメージに合っていたような気がします。 あとのシングルは、もしも、“ミニアルバム”的な発想があれば、そちらに収録したほうが、曲の今後の位置づけとしても、より違う結果になっていたような気もします。(大きなお世話ですが(^^;) 安易に、結果として売れなかったシングルを乱発したことが、せっかくの“大衆向けのサザン”というイメージを崩してしまった気がしてなりません。 サザンが、もしも大衆性に見切りを付けて“自由なバンド”という路線を進むならば、その時点で、バンドとしての発展性は薄くなっていくのでは? サザンの魅力は“常にファンを意識している”ところなのです。それは、決してショービジネスの意味ではなく、それを越えた“心と心のやりとり”に近いのです。 そんなサザンの魅力が“ファイブ・ロック・ショー”の頃、一瞬、サザンから失われたのではないでしょうか? “好きなことをやるからついてこい!”と言われても、よっぽど熱心なファンしかついてこないでしょう。“こんなのあるんだけど、気に入ってもらえるかなぁ?”と、それがサザンの魅力なのです。 とにかくファンを意識して、いい意味で、ご機嫌をうかがい、期待を裏切ることもあるが、それはもちろんいい意味で、という前置きがあったりして、世に楽曲を出していく。それが、みんなが大好きなサザンオールスターズなのかもしれません。 でも、もしかしたら両A面という新しい試みもファンを意識してのことだったかもしれません。音楽界のトップシーンを駆け出したサザンは『働けロックバンド』では自らの境遇を嘆いていたのですが、それよりもはるか先にある気持ちのいい“期待感というランニングハイ”に少しずつ目覚めていきます――。
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