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しかしふたりはフッた張本人であるマユミの励ましの言葉を聞いた途端、真顔で彼女をにらみつけ、なおかつ思いの丈をぶつけてきたのだ。
「ふっざけんなァ!このクソ女がっ!!何が『元気を出して』だァ!?オメーのせいでハートブレイクしてンだぞ!!?」
「そうだよ!ここまで完膚無きまでフッた女と仲良しのままでいられるワケないよ!!今日でみんなキレイさっぱりお終いに決まってるだろ!!?」
「――えっ?そんな……」
今度はマユミがふたりの言葉にショックを受ける。
そして動揺している彼女をよそに、タクヤとヒロシがなぜか手と手を結び合う。
「なあヒロシ。フラれた者同士、オレと付き合え」
「うん、ボクもそう思っていたところさ」
夕暮れの公園で男がふたり、お互いの気持ちを確認し強く熱く抱きしめあう。
ひとり取り残されたマユミは、あっけにとられながらその光景を眺めるしかできなかった。
呆然としながらもマユミの頭の中ではアレコレと情報が飛び交う。
(あれ?なんで?ふたりとも、さっきまでわたしのことが好きって告白してきたのに??)
――どうしてこうなった!?
しかも男同士で??
混乱するマユミを捨て置いて、タクヤとヒロシはお互いのぬくもりを惜しみながら離れると、公園のど真ん中へと移動しはじめた。
ワケもわからずマユミもヨロヨロとした足取りでふたりのあとをついてゆく。
タクヤとヒロシは公園の真ん中までやってくると、互いに覚悟を決めて一定の距離をとった。
そして両者とも息を合わせたように学生服の上着を投げ捨てファイティングポーズをとる。
夕日が沈みかけて影が長く広がる。
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