市の葛藤

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─── 岐阜城 小谷城が炎に包まれた事で本丸にいたほとんどの者が焼死し、後の者は織田軍によって全員打ち首にされた。後始末を家来に任せて岐阜城へ帰ってきた信長は、大広間で小谷城から脱出してきた市と久々に再会した。 「ただいま、戻りました。」 「……無事で何よりだ。子どもらも元気で良かった。勝家に褒美をやらんとな。」 「いえ!俺はただ任務を遂行しただけです!」 力強く言われて信長も市も苦笑する。蘭はといえば、一人感動していた。 (良かった……!本当に良かった、無事で!) 「それはそうと帰蝶様は?」 「あぁ、あいつは宇佐山城にいる。信忠と一緒にな。」 「そうでしたか……」 「会いたいなら会わせてやるぞ。明日行ってこい。そうだな、蘭丸。お前が連れて行け。」 「え?俺ですか?」 ビックリして目をパチパチさせると、信長はそっぽを向きながら言った。 「お前も会うのは久しぶりだろう。無事な姿を見せてこい。」 「はい!」 (いつもこんな優しかったらいいんだけどなぁ~……) 赤くなっている横顔を見ながら、こっそりそう思った蘭だった。 .
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