再会

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――― 「えっ!?その子ってもしかして……」 「いえ、旦那様の子ではありません。私には子が出来なかったので信長様が不憫に思われたのか、ご自分の四男を私達の養子として下さったのです。於次(おつぎ)といいます。」 「そう、だったんだ……」 バツが悪そうな顔で頭をかく蘭を蝶子が睨む。そして言った。 「ねねちゃん、意外と懐が広いんだよ。私なんて最初にきーちゃんを預かるってなった時、信長の事何て酷い奴だって思ったもん。人の子を育てさせるなんて非常識にも程があるって。でもねねちゃんは違った。この子を一目見た瞬間、秀吉さんの後継者として立派に育ててみせるって心に誓ったんだって。凄いでしょ?」 「凄くはないですよ。ただ信長様の大事なお子を任せて頂いたのですから、そのくらいの気持ちでないとこの先やっていけないと思ったのです。でも何せ初めての子育てですから色々とわからない事が多くて。だからこうして大先輩の帰蝶様にお話を聞かせてもらいに来ている訳です。」 「なるほど~、そういう事だったんだ。」 信長が宇佐山城の近くにわざわざ城を建ててねねを住まわせている理由がわかって、蘭は一人納得した。 .
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