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「そっちこそどうだったの?今回の戦は?」
突然蝶子に振られてビックリしながら、蘭はまだ痛む肩を押さえて答えた。
「うん……中々壮絶だったよ。一乗谷城に続いて小谷城も炎上するんだから。一乗谷城の方は義景が火を放ったんだろうって信長様は言ってたけど、小谷城の方は原因が良くわかっていないんだ。突然爆発音がして燃えたから……」
蘭はちらっと市の方を見る。市は少し顔色が悪いようだったが気丈に言った。
「わたしも燃えた理由についてはわかりません。勝家と逃げようとしたら裏の厨房の辺りから炎が見えて……慌てて走ってその場を離れたので。」
「そうですか……」
蘭が顎に手を当てて難しい顔をする。そんな蘭の様子を見ていた蝶子だったが、気を取り直すように明るい声を出した。
「まぁ、無事にこうして会えたんだから良かったじゃない。これからは市さんとも会えるようになったんだし、ねねちゃんと三人で……ううん、子ども達も合わせて皆で時々遊びましょうよ。」
「そうですね。」
「今度は初と江も連れて参ります。江は於次ちゃんとそう変わらないので遊び相手が出来て喜ぶと思います。」
ねねと市が笑顔で言うと、蝶子もホッとしたような顔になって頷いた。
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