再会

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――― 「なぁ~んか女だけの世界になっているような気がするんですけど……」 「あら、あんたはダメよ。あいつの側にいて暴走を止めるっていう義務があるんだから。」 「止める義務ねぇ~……何か最近の信長様は生き急いでいるっていうか何かに追いかけられているかのようで見ていられないんだよな。戦場での姿は冷酷で残虐で怖いし……普段は前みたいに冗談言ったり笑ったりするんだけど。」 「それは仕方のない事です。天下統一の為、お兄様は心を鬼にしているのですわ。」 「それはそうですけど……」 (でも今の状態って結構危ういんだよな……光秀さんの事とか雨の中の奇襲作戦とか皆が戸惑う事ばかりやるから、皆が変わらずついてきてくれるか正直不安かも……) そう。いつも信長の側にいる蘭だからこそ、色々無茶をする信長に対する家臣の戸惑いや苛立ちが伝わってくる。信長の最期の舞台となった本能寺の変を知っているから余計にそう思うのかも知れない。 その本能寺の変の原因の一つとして、光秀などの家臣に辛く当たったり無下に扱ったりした事が史実として挙げられていた。このままいけば本能寺の変やそれに代わる大きな事件が起きるかも知れない。それを蘭は危惧していた。 「だけど俺がやるしかないんだもんな。信長様を守れるのはこの世で俺だけだから。」 「そうそう、その意気。」 目をキラキラさせる蘭を見つめ、嬉しそうに相槌を打つ蝶子。その二人をねねと市は微笑んで見つめていた。 .
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