比叡山焼き討ち

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――― 「姉川と宇佐山城の合戦でこちらも大分損害を被った。ここであいつに出てこられたら確かに危険だな。」 「それでは……」 「本願寺の事は後で考える。だが延暦寺は必ずやるぞ。可成の為に、そして俺の天下統一の為にな。……光秀。この件に関してはお前に任せたぞ。」 「……承知いたしました。」 一瞬何か言いたそうな素振りを見せた光秀だったが、居ずまいを正すとそう言って頭を下げた。 「話はこれでお仕舞いだ。光秀、お前は下がってよい。蘭丸。」 「は、はい!」 突然名前を呼ばれて光秀の隣にひっそりと座っていた蘭は飛び上がった。 実は最初からいたのだが、白熱する二人に圧倒されてずっと口を閉ざしていたのだ。 「な、何でしょう?」 「それでは私はこれで失礼します。」 空気を読んだ光秀が部屋を出ていく。信長は光秀の足音が聞こえなくなるまで待ってからようやく声を出した。 .
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