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―――
「これで延暦寺焼き討ちは決定だな。反対する者も出るだろうが光秀が説得してくれるさ。」
「はぁ……」
「何気の抜けた返事をしてる。お前にも仕事があるのだぞ。」
「え?俺にも?」
「延暦寺を始末する理由は何も可成の事だけではない。」
「と、言うと……あ!もしかして」
「あぁ。前にお前が言っていた、飲んだ者が能力者になったという秘蔵の酒の事だ。」
信長が声を潜めた。
秘蔵の酒というのは延暦寺の開祖・最澄が唐より持ち帰った酒の事で、その酒を飲んでしまった弟子達の体に異常が出てそれが『瞬間移動』等の能力だった。という話が蝶子の父親が見つけた文献に書かれていたのだ。
それを信長に話した時の事を思い出しながら、蘭は前屈みになった。信長が続ける。
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