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「織田家の『心眼』の力は先祖の誰かがその酒を飲んだ事から始まったのだろう。そのせいで俺は……いや、今はこんな話をしている場合ではないな。とにかくその酒がこの世に能力者がいる原因だろう。勝家の情報によれば酒はまだあの寺にあると言う。飲まれたのはその一度だけで後は誰も飲んだ事がないとはいえ、そのような忌ま忌ましい物が存在する事自体許せない。お前にはその酒を盗み出し、処分する役目を与える。」
「で、でも寺を焼き討ちにするんですよね?一緒に燃えるんじゃないですか?」
「確かに跡形もなく焼きつくすつもりだが、もし蔵の中や地下に埋めてあったら燃え残る可能性がある。それだけは避けたい。」
「あ、そっか。そういう場合もありますよね……」
「当日俺は現場には行けないがサルをお前につける。いいか、必ず処分するのだぞ。」
信長が眼光鋭くそう言ってくる。蘭は一度覚悟を決めるように目を瞑ると、力強く頷いた。
「わかりました。任せて下さい!」
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