後篇

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「……ふっ」  鼻で笑われた。 「笑うことないじゃない?」 「……あ、来ましたよ」  タイミングが良いのか、悪いのか。  私によっては良くないタイミングで、微笑みとともにミズホさんが私に供したのは――。 「……ねえ、ヒナタ」 「何ですか?」 「あなた、『カクテル言葉』って知ってる?」 「え? ……ええ、まぁ、まだ少しだけですけど」  ヒナタは少しだけ動揺したような素振りを見せた。 「だったら、コレ」  私は、カルーアミルクの入ったグラスを指す。  もちろん、ヒナタの目をしっかりと見つめながら。  いろいろな衝動に駆られながらも。 「コレのも知ってる?」 「……それは、知ってますよ」  それでも表情を崩さない辺りは、さすがヒナタだった。  伊達に客商売をしていない。  かわいらしい容貌にクールな応対がたまらないという声を何度か聞いたことはあったが、今ははからずもその真意が解る様な気がしてしまった。
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