後篇

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 たしかに、これは私が好きなカクテルだ。  ローストしたコーヒー豆とサトウキビの蒸留酒をベースに造られたお酒であるカルーアと、その名前通りにミルクを混ぜた甘いお酒だ。 「じゃあ、これがあなたの答えっていうことなのね?」  お酒にも、花言葉や宝石言葉に対応するような『カクテル言葉』と言う物がある。  自分の言葉や思いをカクテルに載せて送るなんていうこともある。  私自身もそういう依頼を受けてお酒をつくることがあるから、その辺りの知識はあるつもりだった。 「そういうつもりは……」 「無いことも、無いでしょ?」  カルーアミルクのカクテル言葉は『悪戯好き』。  あるいは『臆病』。  甘味が強くやわらかい口当たりだけれど、作り方によってはアルコール度数を高めにすることも出来るカルーアミルク。  お酒であることを忘れてしまうくらいに飲みやすいことから、そんな言葉が与えられているお酒。
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