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後篇
○
「まさかここだとは思ってなかったなー」
「意外性を意識してみましたので」
ヒナタが胸を張りながら私を連れてきたのは、先ほどまで働いていたバー。
私たちが出たときよりもまた少し客足が増えてきているようだ。
「何か飲みたくないです?」
「そうねー」
満足できる食事だったけれど、ギリギリ限界まで食べたということでもない。
お酒くらいなら全然問題は無かった。
カウンター席の端の方。
他の人たちからは離れたところに通してもらう。ヒナタはすぐに私たちの先輩でもあるミズホさんに耳打ちをする。
何を頼んだのかは教えてくれないらしい。
どういう意図があるのだろうかと思いつつヒナタを見つめると、案の定彼女は自信ありげに鼻を鳴らした。
「それにしても。こんな風に、こういうところで、あなたとお酒が飲めるなんて思わなかったわ」
「それは私もですよ」
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