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「何者…」
見たこともない珍妙な衣服を着た女が、その生物にまたがっていた。手にはもちろんのこと弓矢を構えている。間違いなくこいつが、さっきの矢を持ち主だろう。珍妙な鳴き声をする生物の上に珍妙な女。しかもこっちが言いたかったことをそいつに先に言われてしまった。
「こっちが聞きたい…」
武器を捨て、両手をあげ俺は女に尋ね返す。しかし無防備というわけではない。何かあれば俺は隠し持っているあのデリンジャーを腰元から引くことができるからだ。
「て…テメェ!何しやがんだ」
砂まみれになったサンティが起き上がった。
「生きていたか」
「バカヤロウ!生き物かも兵器かもわからん奴にこのオレが殺されるかよ!」
あれほどの衝撃を受けたならば口から内臓をぶちまけていてもおかしくはないが、彼にあるのはかすり傷だけ。細めの見た目からは想像できないほどにタフな男だ。
「あなたたち、密猟者や盗賊のタグイではなくって?」
女は俺たちを激しい剣幕で睨みつける。間違いなく殺意むき出しで、いつ毒矢を発射してきてもおかしくない剣幕。サンティの野郎は何か言いたげに女を睨み返しているが、俺は奴を静止し女に返答する。
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