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「俺たちはクルマで火星を回っているバックパッカーだ。しかし車のエンジンがぶっ壊れ、爆発し他結果砂漠の真ん中で遭難してしまった。あんたに敵意はない」
「敵意はないのに発砲はするの」
「あれは正当防衛だ。先に矢を撃ってきたのはあんただろう」
「ごめんなさい。遠目で見たらあなたの頭がハゲタカに見えたのよ」
女はサンティの特徴的なヘアスタイルをした頭を指さした。確かにこいつの頭は黒いドレッドヘアが頭に編み込まれており、遠目で見たら確かに鳥類に見えるかもしれない。
「それにしても気をつけろよ!危うく死ぬところだったぜ」
「狙われるような髪型にする方が悪いのよ。それにここは砂漠の真ん中。あなたを殺そうともすぐにハゲタカが証拠を消してくれる」
再び俺たちと女の間に殺伐とした空気が流れる。
「ま。いいか。あなたたちに敵対の意思は見えないし。密猟者や盗賊にも見えないし」
女は俺たちの手を縄で縛り、アルマジロの尻尾に繋いだ。
「(いいのか?このままムショに戻されても)」
俺はサンティに耳打ちする。
「(こんな砂漠のど真ん中に警官はいないだろう。それにそろそろ水がなきゃ死ぬぞ)」
奴は間違いない。といった面持ちでうなずいた。喉の乾きも限界で干上がりきったミイラのようなツラになり始めている。それは奴も俺も同じだろう。
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