”カクタス”・フォッシャー 1

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 両親もロクでない奴らだから、息子の俺もまともな人間ではない。今の俺の立場を教えてやろう。二日前に酒場で女を襲った不届きものを少しばかり痛めつけた。そいつがどうやら名の知れた資本家の息子だったらしく、裁判なしでの死刑が確定。 スシ詰め状態の罪人輸送車にのっている…罪人というわけだ。  「ガハハハ!!罪人ども!お前らは人間のクズだ!どういう気分だ?え?」  「貴様らが今から送られるのはギレルモ炭鉱!そこで死ぬまで奴隷労働させろというのが火星最高裁の思し召しだ!」  現世になんの未練もない_といったが少し訂正しよう。一つ気がかりなのは俺の命があの高慢ちきな豚野郎によって絶やされる可能性があると言うことだ…。そう、檻の中で囚人をいたぶって悦に浸っている看守の野郎だ。  いくらロクデナシの一生であったとしても、流石にそんな安い人生を送ったつもりはない。他の奴らも俺と同じことを思っていることだろう…。
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