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「おい!そこの罪人野郎!誰が勝手に話して良いと…
軽い引き金なんてものはない。たとえ、それがデリンジャーであったとしても。しかし俺は看守野郎の一瞬のスキを見逃すほど甘くはない。
デリンジャーは光線銃だった。電磁波を受けて看守の首から上は全て吹き飛んだ。狭い車内ゆえに、返り血がいくつか俺の衣服を汚す。吹き飛んだ看守の肉片が車内の奥にへばりつく。
「ざっまぁみやがれ!!」と囚人全員が叫んだ。
一瞬の沈黙の後、車内の囚人たちのボルテージは最高潮となる。彼らは一斉に窓側に集まり、脱走を試みた。
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
「囚人どもが銃を持っているぞ!!」
銃声を聞き、輸送車は急停車する。その衝撃で車内の俺たちは一斉に転倒した。
看守野郎の亡骸がこちらに転がってきたので、すぐさまライフルと腰に刺した銃と鍵を頂戴する。
ライフルの方はイルミネ社のPO62…殺傷能力は高いが、重いしデカイし持ち運びには向かない…。見るからに単純バカが好みそうな銃だ。
しかしサブウエポンの方は悪くない。CH社のマーズニュートラル。同社の4番目の光線銃だ。といっても火星では各国の警察組織で使用されている、スタンダード中のスタンダード。良い言い方をすればベストセラーなんだろうが、悪い言い方をすれば平凡すぎて面白くない。
「脱走者を殺せーーッッ!!」
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