”カクタス”・フォッシャー 1

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 一斉に車外から脱出を図る囚人に、看守どもは容赦無く光線銃を発射した。悪人どもの断末魔がどこかもわからぬ荒野にこだまする。  囚人どもと、看守のもみくちゃの白兵戦が始まる。しかし俺以外に武器を持たぬ囚人の多くは一方的に撃ち殺されていく。銃は俺が奪ってしまったから、他の囚人どもは外付けのスコップや消化器で応戦している。  「クソッ!囚人どもが…   グァッ!!」  俺は二人目の看守の眉間に再び光線銃を打ち込む。先程の人面豚とは違い、あどけなさの残る青年だった。しかしその顔を吹き飛んでしまえばただの肉塊にすぎない。もうここまでくれば後はドミノ倒しだ。  引き金を引けば_敵は次々に倒れていく。  これは俺の根拠のない推測だが敵は全員合わせて四人だと思う。二人殺ったので残りも二人。  残りの一人はそこら中に銃を乱射している。無防備の囚人たちが奴に撃たれ、次々とくたばっていく。囚人たちの断末魔が砂漠に響き、鮮血と肉片とが赤い土をさらに赤く、激しく染め上げる。  光線銃というものは名前通りの単純明快なもので、電磁波の力で敵を殺傷する銃器だ。銃弾を使用する本来の銃と異なり、電磁波の攻撃範囲は広いため多少狙いがずれようとも敵を倒すことができる。しかし攻撃範囲が広すぎるため、味方を殺傷してしまうという欠点もある。  相手はそこまでの腕でないとはいえ、そんな武器を持つ人間に近づきすぎるのは危険なことだ。ひとまずトラックの下へ隠れ、3人目の様子を伺うことにした。
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