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何故だか宿には困らなかった。大抵はみんな笑顔で、温かい布団を用意してくれたものだ。私の匂いが好きだと言って、一晩中寄り添われたり、私の自由を奪って満足したりするような変わり者もいれば、ごく稀に、宿主の感覚そのものを変えてしまうようなこともあったが、私はその好意に甘え、無職、宿無しのまま各地を渡り歩いた。
何十年も続けるうちに、いつしか私は天下の風来坊として有名になった。私が現れると人々は喜び、立ち去る時には惜しまれた。勿論、悪い気などしない。いつまでもこの生活が続けられるだろうと思っていた。
だが、しかし…全く予想していなかったことが起きた。まさかあんなことになろうとは。
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